プレゼント箱のマーク。
んー?
何かしらが届いたのは察せるけど…
はて、なんだろう…?
クリックしてみると、別窓でウィンドウが開く。
「ギフト」と書いてあるウィンドウ。
そういえば、大分前に
ECOショップで買ったアイテムを他人に送ることができるようになったんだっけ。
へー、こんな感じで届くんだ〜
ちょっとした感動を伴いながら届いた贈り物の中身を確認する。
届いてたのは、運営さんからのアイテム。
八月末のアップデートでそのシステムを大きく変えたドミニオン界。
今までは、
ドミニオン界に降りるたびにレベルが専用のものへと変換されたんだけど、
それが撤廃となり、レベルがどの世界でも共通となりました。
送られてきたのはそれに伴う補填アイテムでした。
勲章と書かれたそれは
ドミニオン界で得た分の経験値が封入されているというもの。
そういえば、もうドミニオン界に行ってもレベルが下がらないんだっけ…
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貿易都市アクロポリス。
喧騒で湧くアップタウンを走り抜け、オジットはそそくさと裁縫おばさんの家に急いでいました。
お目当ては最近街で話題の染色屋さん。
いつの頃からか、ふらっと街に現れてはそのまま居付いて、
幅広く対応する染色や、ネコマタ用の服の着せ替え業で
停滞が続いていたアクロニア染色界、そして服飾界に旋風を巻き起こした
新進気鋭の革命児。
色違いをそれぞれ単一アイテムとして扱っていたそんなクジの時代もあったけど、
今となってはそれは昔の話。
最近は、「染め直し」がアクロニアのスタンダード。
本来は黒基調のシックなデザインの「オーディンローブ」も、ほらこの通り。
染色屋さんのなんとも手際良い仕事で、
オリエンタルな色使いが素敵な「オーディンローブ(青)」に早変わり♪
鎧兜に身を包んでた かわいいクライアントもご満悦の様子♪
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「これから仕事にかかろうっていうのに、復活の戦士が居ないなんて…」
「むこうで倒れたら誰が街まで運んでくれるのよ…!」
ドミニオン界ウェストフォート。
薄暗い夕闇の街角で、チゾは怪訝な顔でぼやいていました。
走り回ったのか、その額にはうっすらと汗がにじんでいます。
入界規制の緩和を受け、
初めてドミニオン界でクエストを受けてみようとここまでやってきたのはいいものの、
なんとも前途多難。
セーブポイントとなる復活の戦士がドミニオン界の首都には居ません。
手にした受注書を見ると、確かにそう難しそうな内容ではありません。
でも不慣れな初仕事は何が起こるかわからない。
やっぱり、セーブポイントは近場に移しておきたいものです。
ここ最近は忘却の庭園でのモンスター退治の仕事が主だったものだったので、
セーブポイントは「エルシエル」。
ドミニオン界から考えると二層も上にあたる遥か遥かに遠い「タイタニア界」でのセーブです。
ふぅっと溜め息をつく。
気を引き締めて、
倒れないこと。
見知らぬ敵や、見慣れない景色に目を奪われ 気を取られないようにしないと…
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真新しいオーディンローブに身を包みながらも、
浮かない顔の一人のフェンサー。
アップタウンの片隅で露店を眺めながら、こちらもなにやら前途多難な雰囲気。
眉間にも微かにしわが寄って、どうやら悩んでいるご様子。
少し頭の中を覗いてみましょう。
ああ、なるほど。
倉庫から引っ張り出して冠ってみた、その頭のものが気に入らないんですね。
とは言え、
目当ての代物は、あなたが走り回るエミル界では手に入らない舶来品。
露店でもそれ相応の値段が付きます。
買いに行きますか? 販売地ドミニオン界へ。
でもどうやら、
そう簡単には行くことができなそうですよ?
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静寂に包まれた荒野がその静けさをもう一段増し、
風の音と得体の知れない足音がとても大きく聞こえる。
怪しげな機械の駆動音も心なしか増えた気がする。
元から薄暗い空は、日が暮れてもそこまで「夜」を演出してくれない。
代わりに、
夜行性のモンスターの不可思議な配色が夜空に落ちる星のように一層際立って目に付く。
手にした受注書を確認しながら、
チゾは傭兵の味兵さんと荒野のパトロールに努めていた。
うん、
思った以上に危なげがない♪
これなら問題なく「CP」を稼げそう♪
不慣れのせいで、最初の一回はバタバタとしちゃったけど、
大丈夫、クエスト自体はそう難しくない。
ただ、一つ難があるなら、
街まで2マップと、すいぶん距離があいてることかなぁ。
往復するだけでも結構時間がかかっちゃう。
オジットに渡す「ピニオンヘルム」、
今日中に獲得できるかしら…?
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天まで続く塔は、相変わらず在り得ない程大きな「さやえんどう」が茂っていて、
ここだけは普段のアクロニアから隔離されてる世界だと、冒険者に印象付ける。
上に上れば、タイタニアの住む世界へ、
下に下れば、ドミニオンの住む世界へ。
塔は三つの階層を貫き、巨大なシャフトのように世界をつなげている。
身丈の十倍はある大きな塔の扉。
その扉の前で立ち往生してるのは、エミル・マーシャ・ルルイエに、そしてベリアル。
と、
ひよっこフェンサー。
あー…あー…あー…、
わざわざここまで出向いたんですか?
だめですよ、鍵がないとその塔の扉は開きません。
肩を落とし、
絶望のふちに落とされたが如く
がくりと膝をつくフェンサー・オジットさんが欲しがっていたピニオンヘルムは『CP品』。
CP品はお金の代わりに「CP」を使って引き換えてもらいます。
CPは、
ドミニオン界で行われる プレイヤー軍 vs NPC軍 の大規模戦闘、
「都市攻防戦」の報酬として得るか、
ドミニオン界で受ける専用のクエストを達成して得ることができます。
このCPが実はチゾ的には鬼門。
いままでは入手が困難なシロモノでした。
PCへの負荷の大きい都市攻防戦は
スペックが推奨より大分低いチゾPCではどうがんばっても参加することが出来ず、
ではクエストでと思っても
ドミニオン界でレベルの低かったチゾにはその内容がどうにもきつい。
けれど、
この度のシステム変更に伴い、
エミル界のレベルのままドミニオン界に行くことが可能となり、
CPクエストもこなすことが出来ます。
もうCP品も高嶺の花ではないんです♪
とは言え、
そのためにはそれ相応の労力が必要です。
目的のCPを得るためには、実に10回以上のクエストを繰り返さないといけません。
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夕景に染まるウェストフォート脇の荒野で、チゾはフシギな形をした機械を撃ち落していた。
その不思議な機械はドミニオン界を侵攻中のDEMが放った偵察機。
矢筒に押し込んだクエストの受注書には30機の破壊が課せられていた。
また一つ、目の前に。
矢を取り出し、弓を引き絞る。
しかし、もう一度目を見張ると
眼前の機械は朽ちて地面に転がっていた。
その身を貫いたであろう白い矢が光の塵となって消えていく。
視界の端に映る人影を目で追う。
その男は身の丈ほどもある大きな弓を軽く片手で持ち直し、
次なる目標を狙って三対の羽を優雅に羽ばたかせ飛んでいく。
「あと何体落とせばいい?」
「まだ足りない?」
「いいえ、さっきので30です♪」
「終わり♪」
「OK」
結局、二度ほど砂漠のパトロールをするも、
それだけですごい時間がかかってしまって、
どう考えても今日の日のうちに目的のポイントまで到達できなさそう。
でも、
さてどうしよう… と、肩を落として途方に暮れていたところで、
先輩アーチャーのそうるさん(ゼロソウル)が声をかけてくれ、手伝うよと言ってくれました♪
人手が増えたので、
報酬CPは少ないけれど回転率の良いクエストを受け、次々とこなす。
今度は対象MOBがいる場所も街からすぐ隣のマップだし、クエストもスイスイ進みます。
お蔭様で。
ほどなくして、目標のCPを獲得完了!
澄み渡る空のような青く大きな弓、アルテミス。
そうるさんが持っていたその弓は
今チゾが一番憧れてるレベル110の弓で、
そうるさんの華麗な弓の立ち回りよりも、当初の目的だったCPの獲得よりも、
何よりもそればかりが気になってしまった…
99弓「シャールンガ」が炎まとった男性的な弓なら、
このアルテミスはシャープな蒼がきらめく女性的な弓。
CP獲得のクエストもいいけど、
やっぱりチゾはレベル上げの為のクエストをしなきゃ…!
そんなことを思いました。
次にクエストポイントが貯まった時には、
また庭園のクエストをやろう!
アーチャーの道、ホークアイへと続く道はまだまだ果てしないんだし!
まぁともかく。
ピニオンヘルムお待ちどおさま、オジット
似合うといいね
。o( おまけ )
実はセーブポイントがあった件。
2011.10月4日 【只今のJOBLV:--♪】
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